「不定期で書。」 このコーナーは、書道毛筆10段の南波志帆が気の向くままに漢字一文字で気持ちを表すコーナーです。

「顧」 (2011.8.29)

顧

懐かしいって、大きなお砂糖のかたまりが心の中でじわじわ溶けてゆくような感覚。あの頃に戻りたいと胸がきゅんと痛くなったり、ふわりふわりとしあわせな気持ちになったり、急にさみしくなったり、不思議な気持ち。未来の私が過去を振り返った時にどんな気持ちになるかは、いま過ごしている「今」が重要。私は振り返った時に、とっても甘い懐かしい気持ちになりたいから、そのための今を生きています。時間は刻々と過ぎてゆくから、立ち止まっている暇なんてないのです。いつも前を向いていたいな。

「空」 (2011.8.19)

空

暑いのは苦手。だけど、夏は好き。透きとおるような青い空とふわふわとした天使の羽根のような白い雲がとってもきれいだから。ずっと見ていたくなる。まるで時間が止まってしまったみたいに。のんびりと過ごすこの季節は、優しさに包まれているような感覚になります。そして、この季節はいつも振り返った時にキラキラとした思い出になる。不思議で素敵なこの季節。

「儚」 (2011.8.15)

儚

うるさいくらいに鳴く蝉の声で、目覚めた朝。夏を感じます。彼らは何年も土の中にいて、7日間という短い期間だけ、外の世界に出て夏を知らせることができる。その儚さが、風情となり、私たちのこころの中に残る。人も生まれた時から、永遠に続くことはない大切な時間を刻みながら生きています。終わりのある、限られた時間だからこそ、今を一生懸命生きようと思うし、その一瞬が輝くような気がします。だから人は儚くて、美しいのかもしれない。そんなことを考えた、8月13日。お盆の朝。